まえがき 目次
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講談社・ブルーバックス
はじめに 本書は「目的を達成する文章」の書き方を紹介します。大きく分けると文章には芸術文と実務文の2種類があります。芸術文とは小説やエッセイなどで、実務文とは意見、研究成果、情報、連絡事項などを伝達する文章を指します。この本は実務文の書き方を紹介するもので、余韻の残る名文の書き方を紹介するものではありません。 実務文には常に、はっきりとした目的があります。たとえば、生命保険更新の案内文は、間違いなく更新手続きをとってもらうことが目的です。つまり、実務文での「分かりやすい文章」とは、書き手の意図を読み手に分かりやすく伝え、確実に「目的を達成する文章」のことです。 そして、この最終目標を達成するための「分かりやすい文章」を書くことは、意外に簡単です。あなたがもし、今、「分かりやすい文章」を書けないとしても、その理由は文才がないからなどではなく、ちょっとしたコツを知らないからだけなのです。 普段、目にする文章の大部分が実務文であるにもかかわらず、国語教育で対象としているほとんどの文章は、なぜか芸術文ばかりです。巧みな心理描写や味わい深い芸術文を評価、鑑賞するような授業ばかりだったように感じます。 必要な連絡事項をどうしたら確実に伝えることができるか、といった実務文教育を受けた記憶がありません。だから、わが国は、何が言いたいのか分からない文章であふれているのかも知れません。 したがって、この本はまず、早い時期に実務文の基礎を学んでもらいたい高校生をはじめ、文章術の本を初めて読むような読者を想定しています。また、ビジネスマンが机の上に置いてマニュアルとしても使える本を目指しました。ぜひ、辞書と一緒にこの本も手元に置いてください。「目的を達成する文章」を書く力が飛躍的に向上するはずです。 |
By ふじさわこうじ